▼ いじりの定番! Ibanez TS9 の改造 / 定番改造をやってみましたが… |
ギターをやらない人のために一応説明しておくと、エフェクターとは電気的にギターの音色を様々に
変化させる装置のこと。
もっと判りやすくちょっと乱暴な言い方をしちゃうと、おそらく一般的にエレキギターをよく知らない人が思う
「 エレキの音 」 ってゆーのが、実はエフェクターで作られた音。( なんじゃないかな )
まあ、例えは良くなかったが、それほどエレキギターと切っても切れない関係にある装置なワケ。
アーティストのライブ映像とか見てるとギタリストが何か床を踏みつけている動作を見たことがあると
思うんだけど、あれがエフェクターを操作しているところで、基本的に足踏みスイッチで音色を切り替える。
無論、ギターと同様にエフェクターもピンからキリまで様々なものがある。
その中でも昔から人気の高い 「 Ibanez 製 TS9 」 が、改造用ベースとしてもよく使われている。
いじりの定番中の定番というやつだ。
いじり用として人気が高い理由として、TS9 は発売当初からほとんど同じ構成で作られている事だろう。
昔チックと言うか、昔からそのままの基板が改造を容易にしている。
ただ、昔から変わらないと言っても見かけだけで、使われている個々のパーツは年々合理化された工場で
昔とは違った製法で作られているため、出てくる音色は昔どおりではない。
逆にこの昔どおりじゃない音色が、昔の音を追い求めるビンテージファンに火を付け、昔と同じ音色が
出るように改造する例が多いようだ。
その中でも更に定番中の定番、オペアンプと呼ばれる IC チップを 1980年代に製造されたモノと交換
するのが良いと言われている。 つまり、昔のパーツと入れ替えて、当時のサウンドを再現する改造。
1980年代当時のオペアンプは 「 JRC4558D 」 というもので、現行のモノと比べて外見上は艶があり、
表面にシリアルと呼ばれている4桁の数字が印刷されている。
このビンテージ物のオペアンプを探して交換だ。
( ビンテージ物ということでレア物扱いになり、現状では現行品と比べて何倍も高額になっている )
ご多分に漏れず私もここから始めることにする。
↑ まずは、オペアンプを交換できるように一旦オペアンプを外して IC ソケットを取り付ける。
↓ 入手したビンテージ物と言われる 「 JRC4558D の艶あり 」 がこれ。
写真では判りにくいけれど、けっこうツヤツヤ。
…ってゆーか、足の裏側までピッカピカ。 たった今、工場で出来上がった新品にしか見えないぐらい。
とても 1980年代のシロモノとは思えません。(笑)
なんというか、年代物の風格が全くない、安っぽいピカピカ感。
例えるなら…
艶ありの 4558D は高額取引されているから、ひと儲けしようと東南アジアあたりの IC 製造工場に
「 艶あり4桁シリアルの 4558D を作って欲しい 」 と頼んだら、細かな日本語のニュアンスが判らない
現地の人が、ともかくピカピカのツヤツヤに仕上げてしまいました
…という感じ。( あくまでも、私的な想像です )
おもわず 4558D に向かって
「 おまえ、経年変化って言葉しってるかい? 」
と、ひとり言をいってしまった (^^ゞ
それぐらい新品感覚満載で、アジアンチックな風味が漂う。( …気がする )
うーん、、、一旦疑い始めるともうダメで、これを使っても全く良さが感じられない。
いや、艶無しの最初から付いてたほうが良い音?? いやいや全く同じ??
聴覚とはもともと脳がフォローしている割合が高いようだから、頭の中で NG を出してしまうとそれに
耳は逆らえないんだよね。
いずれにしても、なんとかこの考えを払拭せねば。
たまたまこのチップの製造メーカーに務める知り合いがいるので色々と調べてもらったら
「 あやしい… 」
のような返事が。。。 うわぁーー、益々ダメダメだ ( 聞くんじゃなかった(笑) )
ついでに秋葉原のビンテージパーツに詳しそうなお店でこのオペアンプを見てもらったら大笑いされた。
無論、外見だけで鑑定できるとは思えないが、これって・・・
…いやもう何も考えまい。考えても迷宮に落ちるだけだ。
そのうち時間のあるときに 80年代のラジカセとか探して、中から JRC4558D の艶ありを発掘しようかと
思います。当時は大変ポピュラーなパーツだったから、古い家電品の中からザクザク発掘できるらしい。
それと比べれば、ハッキリするだろうからね。
↑ とりあえず気を取り直し、ほかにも色々とオペアンプを調達してみた。
手に入れた艶あり 4558D は少々がっかりな結果になってしまったが、それに囚われるのはやめて
自分好みの音を探すベクトルに路線変更。
個人的には、Texas Insturuments 社の TL4558P( 艶あり ) や、Burr-Brown 社 ( 現Texas Instruments )
の OPA2134PA がとても良く感じた。
ヘッドホンアンプ等で人気の高いシングルオペアンプ OPA627 をデュアル化基板に実装した物も
試してみたが、これは TS9 には不向き。。。 歪まずにこもった感じの不思議な音になった(笑)
↓ 更に、他の定番改造部分もパーツを入れ替えてみた。
よくある改造例なので、あえて詳細までは書かないが、以下のような感じで入れ替え実行。
1 … FET のランクを O から GR ランクのものに交換。
ここの交換で音の抜けが良くなると言われている。
2 … FET 交換に伴いスイッチ切替時に発信音が出るようになるので、それを解消するために
LEVEL ボリュームに繋がる抵抗値を増やす。
ただし実際には消すのではなく発信音が出る領域までボリュームが上がらなくなる改造だ。
3 … クリッピングダイオードを 1S1588 に交換。
4 … コンデンサの交換。
5 … LED を青色に変えたので抵抗交換。( 抵抗値計算が面倒だったので定電流ダイオード化 )
6 … TS9 の兄貴分である TS808 と同じ定数に変更。
7 … ここも 6 と同様、TS808 定数化。
ちょっとパーツを入れ替えるだけでも微妙に音色が変わっていくのが判る。
いっそのこと、全部入れ替えるとどうなるのだろうか?
さすがにこの基板だと何度もハンダのし直しをするとパターン剥がれが起きそうだからね。
新たに基板を作って、一から全て別パーツで組み上げてみようかと思う。( 続きは次のページ )
ちょっと余談だけど…
もともと製造時に線むきが荒いのか、少し基板をいじっただけで配線が切れ始める。
ってゆーか、最初から結構切れ気味か(笑)
線を丁寧にむき直してハンダしなおすだけでも、音質向上が望めるんじゃないかな。
記事掲載日 2009.06/29